素材について material

神戸元町にある創作鞄槌井で使用する素材について

革について職人がQ&A形式でお答えします

高い革は長持ちしますか?

高い革=丈夫な革ではありません。高級な革の中には長く持つものもありますが、一例ですが、カーフなど子牛の革はデリケートで強い革ではありませんが、高級革です。

どんな革が長持ちしますか?

一概には言えませんが、下記の二点は大切かと思います。
・フルタンニンなめしの革であること。
・革の内側まで色が染まっていること。

汚れやすい革はどんな革ですか?

表面がコーティングされている革とあまりされていない革がありますので、しっかりとコーティングされている革の方が、汚れにくくはありますが、コーティングされていない方が、革の風合いは感じられます。

色移りしませんか?

染色されている革で色移りを完全にしない革はおそらく無いと思います。
こちらもコーティングがしっかりしている方が色移りしにくいです。
特に濡らしてしまうと色移りしやすいので、濡らさないこと(汗などでも)が大切です。
また色移りは床面(裏面)の方がしやすいので、床面が出ていない作りにした方が良いです。

傷が付きにくい革ってありますか?

傷が劣化に見えてしまうのか、風合いとして感じられるかはタンニンなめしかどうかが重要かと思います。またオイルがしっかり入っている革も良いと思います。
また傷つきにくいというよりも目立ちにくい革は表面の凹凸がある、型押しの革の方が傷が目立ちにくいかと思います。

濡らさない方が良いですか?

革は極力濡らさないで欲しいです。濡れた革を放置してしまうと中の油が抜けたり等劣化が早まりますので、適切なお手入れをしてください。

国内と海外どちらの革がいいですか?

それそれ良し悪しはあると思いますが、海外の革は風合いを重視している為色落ち色移りが国内の物よりしやすいことが多いです。
また革は関税が高く海外からの革は2,3割関税がかかる事もあります。

なので同じお値段でしたら国内の革の方がクオリティーが高いので、創作鞄槌井では国内の革の方が多いです。

使用する革について

いい革とはどのような革をイメージされますか?
人によって基準は様々です。一例をあげてみると、「風合い・エイジングし易いこと・手触り・柔らかさ・軽さ・丈夫さ・堅牢性・発色・傷の付きにくさ…等」人によって思うことは違います。この中には両立しないことも多々ありますので、創作鞄槌井では革の特徴をお伝えできるよう心掛けています。

革を購入する際、電話一本で送って貰うことも可能ですが、革は天然の物なので、質感、傷、風合いなど全て違います。ですから毎回直接足を運んで見て納得した物を買うようにしております。

下記の種類が定番で取り扱っている革ですが、その他買い付けに行って選んできた限定の革も多数ございますので、是非店頭の方にお越しください。

創作鞄槌井では200種類以上の革を在庫しており、カラーバリエーション豊かな革製品がお店に並んでいます。革のサンプル帳を見ながらオーダーしたり、店頭では置いていない革もオーダーされるお客様には工房からお出しすることもあります。ぜひお客様だけのお気に入りの一点を見つけてくださいませ。

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革のカラーバリエーション

【オイルバケッタ】(厚さ:2mm)

栃木レザーの一つで重厚感があり革の風合いが楽しめる高級ヌメ革です。 経年変化が楽しめる革です。

特徴・・・
●厚みがあるが柔らかい
●使えば使うほど味が出る
●革の風合いがある

【ビッグスエード】(カラー:50色以上 厚さ:0.5mm)

柔らかい手触りで裏地にも使えます。

特徴・・・
●軽い
●布の雰囲気を出せる
●洗い加工で独特の雰囲気に出来る

創作鞄槌井オリジナル革

創作鞄槌井がタンナー(革の鞣しの工場)に依頼して、直接創って頂いている革で、カラーバリエーションが多彩でシボが(型押し)あるので傷が目立ちにくいです。


特徴・・・
●発色が良い
●シボ感があり傷が目立ちにくい
●革からのオーダーメイドも可能

創作鞄槌井オリジナルヌメ革

創作鞄槌井がタンナー(革の鞣しの工場)に依頼して、直接創って頂いている革で、長く使って頂けると経年変化を楽しめどんどん艶やかにかつ色が濃くなって行きます。
ヌメ革は濃い色が多いのですが、この革は明るい綺麗発色の色もあるヌメです。
特徴・・・
●厚みがあり硬くしっかりしている。
●ヌメ革だが発色が良い
●ヌメ革なのでどんどんと深い色合いにエイジングしていく。
●革からオーダーメイドすることも可能

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革を作っている工場

末永くお使いいただくために

鞄や財布など革製品を永く使って頂く為に最も大切な事は、常に使って頂く事です。
革というとお手入れが難しいと思われるかもしれませんが、人間の皮膚と同じイメージを持って頂いたら、分かり易いかと思います。
ご自身の皮膚でも汚れてしまったら、洗ってクリームを塗りますよね?革も同じです!汚れてしまったら、汚れを取ってクリームを塗ってあげます。
バッグは月に一度ほどクリームを塗ってもいいですが、お財布や革小物は手の油が付くのでそこまでクリームを塗らなくても大丈夫です。
ただ表にコーティングしてある革ではクリームが革に届かない事もあります。

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革の説明

【オイルバケッタ】(厚さ:2mm)

あまり手入れをしなくてもどんどんと艶が出て来てくれますが、汚れを落としてクリームを塗ってあげるとなお綺麗に使って頂けます。

【ビッグスエード】(カラー:50色以上 厚さ:0.5mm)

生地が軽いため、女性向けの柔らかいバッグや裏張りなどに。
色のバリエーションが豊富なため、色々と細かい色合わせが出来るのが特徴。
お手入れ方法は表面を専用ブラシで整えると長持ちします。

創作鞄槌井オリジナル革

月に一度ほど汚れを落としてクリームを塗ってあげるとなお綺麗に使って頂けます。

創作鞄槌井オリジナルヌメ革

あまり手入れをしなくてもどんどんと艶が出て来てくれますが、汚れを落としてクリームを塗ってあげるとなお綺麗に使って頂けます。

革の分類

牛革でも色々あってよく分からないとのご意見をよく聞きますので、牛革の特徴や質が変わる部分は主に以下の部分です。
◆原皮の産地
◆生後どの位だっているのか
◆どんな鞣し方をしているのか
◆どんな仕上げ方法か

原皮の産地

原皮ですがこの辺は商品を買う時に把握している店員は稀でしょうし、そんな違いもあるんだな~位に見てみて下さい。
原皮は日本のみならず色々な国の原皮を輸入して革を加工します。
勿論産地によって革の特徴は様々です。日本の牛は美味しい肉を創るために太らせていますので、薄く柔らかい革繊維になっていたり、貧困国では餌をあまり与えていないので、革が荒れていたり寒い地方の方が革に厚みがあったりなど牛の育つ環境や食べるもの革の質や特徴も変わります。
しかし、問屋さんで革を買う段階で原皮の産地まで公開していない場合も多く、創作鞄槌井の職人も革の産地は一部しか把握できていません。

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革の原皮

生後どの位だっているのか

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革の選別

牛は生後何か月かで分類しています。
生後6ヵ月以内の仔牛(主に乳牛種のオス)の革を「カーフ」と呼びます。
生後6ヵ月から2年くらいの中牛革を「キップ」と呼びます
生後2年ぐらいで出産を経験しているメスの成牛の革を「カウ」と呼びます。
生後3~6ヵ月の間に去勢したオスの成牛の革を「ステア」と呼びます。
生後3年以上のオスの革を「ブル」と呼びます。
若い牛の革の方が上質とされ値段も高いですがどのように特徴が変わるのか説明します。
人間の肌で考えて頂いたら分かり易いと思いますが、若い人の肌の方がみずみずしく肌理が細かいですよね。赤ちゃんの肌なんて本当にプルプルですね、しかし強度を考えたらあまり強くはなく、傷つきやすいですよね。
牛革もそれと同じで若ければ若いほど、肌理が細かく綺麗ですがデリケートな部分もあります。年配の牛革の方が肌は粗いですが、丈夫でしっかりしていることが多いです。

どんな鞣し方をしているのか

「ヌメ革」という名前の聞いた事はございませんか?
これはタンニンで鞣された革の事をさす名称で、なめし方でも革の特徴が変わります。

最も有名な鞣し方はタンニン鞣し(これをヌメ革と言います
最もポピュラー鞣し方はクロム鞣しです。
そしてクロムとタンニン両方使った混合(コンビ)鞣し

大体が上記の鞣し方ですが、他にも油鞣し、白鞣し、ホルマリン鞣し等々色々ありますが、とても流通量が少ないです。
大切なのは鞣し方でどのように特徴が変わるかです。
ではヌメ革の特徴です。何と言っても最大の特徴は革の風合いです。自然由来のタンニンで鞣されているので、とても革の雰囲気が出ており、エイジングも魅力的です。だんだんと色が濃くなり革がつややかになって行きます。
他にも、伸びにくい・摩擦強度が強い・形が付きやすい(可塑性)・堅い・熱に弱い・発色が悪い・重い等々色々な特徴があります。


一方クロム鞣しの革の特徴は、発色・軽さ・引き裂き強度が強い・熱に強い・柔らかい等の特徴があります。

なので、ヌメ=良い革というだけではなく、それぞれ特徴が違うのだなと思ってください。
確かに私も自身もヌメ革の風合いに魅力は感じますが、軽さや発色をとるならクロムがよろしいかと思うので、どんな目的で使うかなどによって良し悪しは変わります。

お客さんの求める革はどうゆう革なのか、どんな所を重視するのかをよく考えて選ぶ革を決めて下さい。

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革の制作現場(太鼓)

どんな仕上げ方法か

神戸元町のオーダーメイド店創作鞄槌井の職人が使うこだわり本革の制作現場

革の仕上げには様々な加工がありそれにより革の特徴や表情も変わっていきます。

革の仕上げを大きく分けると色に関する事と革の表面加工に関する事があるかと思います。
まず革の色については顔料か染料かという点ですが、染料と顔料の違いのイメージは
染料は「バケツに入った色の付いた液体の中に入れて染める」
顔料は「スプレーで吹き付けて色を付ける」という感じです。

ですから染料の方が革の表情が残っていますが、逆に言ったら傷や擦れなど革に元々ある部分も残ったままになります。

逆に染料は革の表情も消えて見えなくなりますが、傷や擦れなども見えにくくなり水にも強くなりますが、表面に見えているのは塗膜であり革ではないので、使用と共に塗膜が剥がれて内側の色が見てしまったりします。

また革の表面加工ですと、型を押したり、表面をバフ(ヤスリにような感じ)して起毛にしたり、色々ありますが総じて言えることは、加工をすればするほど革の元々の表情が見えにくくなるということです。
そのままの革らしさが良いか?
加工した綺麗な革が良いか?
正解はありませんので、どちらを求めるのかで選ぶ革は変わってくると思います。